あるできごと


◇動物園へいく
 8月は孫と一緒に動物園をはしごした。一つは都心の動物園、もう一つは北海道の名高い動物園である。ちょうどペンギンの泳ぐシーンがある絵本を書いていて、その泳ぐ姿を間近で見ることができた。
 両者に共通しているのは、動物の生態をそのまま見せる工夫である。自然環境に近い方が動物のストレスが溜まらないというし、来場者も生の生態が見られて楽しい。北極の白熊が餌の魚を水中で取。人間が危害を加えない限り人を襲うことはないとさえ思えた。親子ペンギンがスイスイ泳ぐ姿は、泳ぎ方の手本である。猿やモンキーが枝伝いにウンテイのように移動するが、すこぶる身が軽い。北の動物園には、生まれてまだ日が浅いの2匹の小熊がいた。いまは生きるための学習中だそうだ。丁度「こぐまのはじめてのあさ(仮)」の絵本を制作中であり、小熊が初めて見た世界を喜び勇んで学習する様が出てくるが、小熊の動きは、まさにその通りだった。
 動物園を比較するつもりはない。が、二つの動物園の違いが際立っている。都心の動物園はその規模において、広大な土地に広がる北の動物園には及ばない。しかし来場者は押すな押すなの人出にあふれ、終日大混乱した。北の動物園は広い土地に動物が散らばっていて、見学者がちょうどよく散乱し、ゆったりと見学できた。
 なぜ人々が動物園に惹かれるかといえば、それは動物の生態が生で見られるからだ。大人だろうとオジさんだろうと、動物の生きる姿を見るのは飽きない。囚われの身の動物たちに同情しつつ、なお生態に強烈な刺激を受けるのである。
 何度見ても飽きない動物園めぐりで合った。

2011年8月のことば

◇一歩一歩

人生は 
一歩一歩の集積
歩む一歩一歩が 
人生となる

100キロ先の地点も
100歩先の建物も
歩めば 
一足ずつ近づく
駅の階段も
歩道橋の階段も
登れば 
一足ずつ上がる

大震災のあの日
ひたすら歩いて
3時間後に家に着いた

人生の歩みも 
家にたどり着く歩みも
何事も 
最初の一歩から

ビーゲンセンのワンポイント

◇育てる

 屋上プランターの野菜
 春に20種類余を植えた
  肥料を施し
  水をやり
  雑草を取り
  不要な芽を摘み
  話しかける

 野菜には
  毎日の水やりが欠かせない
 葉が黄色くなれば病気かと疑い
  せっせと治療薬を散布する
 茎が伸びなければ栄養不足かと心配し
  せっせと肥料を施す

 野菜の生命を守るということは
 生き物の生命を守るということ
 その心は同じ
 育てる責任と覚悟がいる

あるできごと ミニコンサート

◇ミニコンサート

 絵本塾ホールでミニコンサートがあった。僕は元々歌番組やバラエティ番組はあまり見ない。だから歌手を知らない。特に五十歳過ぎからはとんと縁がない。今回のミニコンサートは、始めて知った歌手だったが、観衆が両極端だったので興味深かった。
 3月は若手歌手ジリ・ブァンソンさん、6月が女性歌手小川範子さんだった。二人とも歌手であり役者でもある。テレビ番組に出演しているという話しだ。ジリ・ブァンソンさんはアメリカ人だが、すっかり日本に溶け込んでいるようにみえた。一日二回、二日に亘る東日本大震災支援のイベントである。100人弱の観衆の80%は若い女性だ。小川範子さんは元アイドル歌手だそうで、前の席に5~60代とも見える男性のファンが陣取り声援を送っていた。ファンクラブ会員限定のミニコンサートとあったが、観衆の60%は男性客である。歌に合いの手を入れるなどして、会場を盛り挙げていた。
 二人がファンを大切にしていることもさることながら、ファンを惹きつける魅力を持ち、それを維持していることにビックリし、敬意を表したのだ。何年も輝き続けるにはそれなりの努力があるはずで、それは一体何なのか? その極意が気になるコンサートだった。