2010年8月のことば

◇はじける魂


 生き生きと
 生き生きと
 生き生きと


 顔と心が弾む
 心と足が踊る
 足と頭が回りだす


 息をするだけで清々しくなる
 伸びをするだけで神経が反応する
 声を出すだけで魂がはじける

ビーゲン センのワンポイント

◇未来

 
 夢の数だけ希望があり
 希望の数だけ夢がある
 夢を見よう
 
 おさなき子は夢を見よう


 夢を見る子どもは心が広くなる
 夢を見る子どもは心が柔らかになる
 夢を見る子どもは未来に向かって羽ばたく

あるできごと

◇僕の決断

 あるとき、僕は仕事の手が空き心に空洞ができた。その際に、仕事に向けていたエネルギーで絵本の文を書き始めた。刊行された絵本は、読んだ読者から余りの人間くささにへきへきしてしまうと言われ、子ども達からは内容が難しく面白くないと拒絶された。 
 意気揚々として仕上げた作品だったが、反応の悪さに自信を失いかけた。それを払拭してくれたのが、鳥取県O小学校のN君である。彼が「にじになったさかな」の感想文を書き、鳥取県知事賞を受賞した。後で聞くと、授業で習った“ぜんあくの判断をつけるために人間は勉強している”という先生の教えと絵本の内容を結び付け、感想文に書いたのだった。この内容が子どもたちにも伝わるのだと、一気に自信を深めた。書き手としてはここまで読み取ってもらえれば本望である。1作目の「にじになったさかな」を読んでくれたN君に感謝し、自信を深めて絵本作家の道を選択したのだ。
 何よりも人間性を大切にする教育がなされていること。近年、若年者の悲惨な事件が連発しているが、そことの違いが何なのか、その真相を知りたいと思った。そこでN君とO小学校へお礼として、二作目、三作目と、絵本を送った。すぐさま校長先生から温かい返事と子ども達の絵便りが寄せられた。こうしてO小学校との交流が現在も続いているのである。
 交流を通して、その学校に教育の原点を見いだした。そこには、僕の考える教育があり人間の感情がある。三十人足らずの小さな学校だが、その子ども達に何かしてあげたいと日々強く思うようになったのだ。いまの日本にこのような学校教育があるのが嬉しい。この子ども達の活躍に心が休まり、期待するのである。