あるできごと 表彰式で感じたこと

◇表彰式で感じたこと   
 あるNPOが主催する「図書館を使った調べる学習賞コンクール」の表彰式があった。僕は地方コンクールと全国コンクールの審査委員を担当し、その選考にあたっている。今年は14回目の表彰式だったが、応募総数は25000点余に達したという。1回目が950点だったことを考えれば、その取り組みの広がり方がすばらしい。
 地方コンクールの区長賞を得た小学校中学年の作品が、全国コンクールで最高の文部科学省奨励賞を受賞した。この受賞者は2年生でも奨励賞を受け、昨年は2番目の教育振興財団賞を受賞、3年連続の受賞をはたした。昨年は、中国地方にも研究熱心な児童がいて、2年連続で奨励賞を受賞している。
 昨年の選考会で討議が白熱したのは、連続して奨励賞を与えると受賞者の幅を狭めるという意見だった。僕は、高校野球の甲子園は連続出場できるのだし、良い作品は良い作品として受賞させるべきだ、と主張した。結果は連続受賞可となって、昨年と今年の連続受賞となったのである。
 「アサリがあっさりと死んだわけ」という研究は、他を圧倒する研究成果を示した。アサリを水槽で飼育したのだが、何日かして死んでしまう。そこから科学の目で飼育を研究していく。塩分の濃度が違うのかもしれない、砂浜の状態が悪いのかもしれないなど、仮説を立てて、次々に仮説を解決していくのである。
 このように生態観察から疑問を持ち、仮説を立てて挑戦し解決していく。この仮説を立てて実験し、疑問を解決していく課程が大事なのだ。これこそ科学者の目である。それを小学校中学年で持っていることに敬意を払うのである。
 ある版元の編集者が、このままでも本にできると言い、当人と挨拶を交わした。本に結実することを願う。参加者がこのような調べる姿勢を身に付けることが、このコンクールの目的なのだ。心躍る嬉しい表彰式の一日であった。