あるできごと

◇光り絵


 7月17日に絵本塾ホールで行われた、「和代人平ライブ・ペンティング『光り絵~夏の夜空の物語~」を見た。”光り絵”とは、和代人平氏が考案した光りのパフォマンスだ。暗転の室内で様々なライトを使って描かれる幻想的な光りの芸術である。
 大きなスクリーンに物語に副って情景が次々と描かれる。描かれた時点から絵の光りが弱くなり、5分もすると消えていく。消えたスクリーンに次の情景が描かれるが、光りの強弱と絵の大小がうまくコントラストして、一大叙情画が展開するのである。文字通り息も吐かせず、緊張の60分だった。終演後の和代氏は、汗だくだくで20分たっても汗が引かなく、ストーリーの展開場面を描き続ける、そのエネルギーの凄まじさを知った。”芸術は暴発だ”の実証でもある。
 心に残ったのは、この”光り絵”が人生そのものを思わせたことだった。人が生きるってことも、何かに追われながら、または追いかけながら膨大なエネルギーを必要としている。結局、生きるってことは、日常の繰り返しに他ならない。
 この”光り絵”のようにである。